「醤油とって」 「はいはい」 焼き魚の塩が少しざらついて舌を刺す。 苦い腸を避けていると田中さんと目が合う。 「そこが美味しいんじゃない」 「苦いのは、ちょっと……」 「もったいないなぁ」 田中さんは見た目の割りに意外と大人だ。 というか、何も知らないと仙人みたい。 落ち着いてて、オジサンが化けてるのかも。 「大根おろしもつけないの?」 「苦いんで……」 「お子ちゃまだなぁ」