窓の外に見える空が紺色になっていた。
私はぼやっと夜空を見ている。
まだ誰とも話していない。

「…………」
「お腹、減ってない?」

小さく頷く。
けれど、声は出さない。
眼は潤んでいた。

愛海は私の世話をしてくれていた。
何故?
田中さんに何か言われたんだろうか。

そう思うと、涙がこみ上げてきた。

「愛海……」

愛海はニコッと笑ってくれる。
家出を手伝ってくれたときの顔
けれど、無理のない笑顔。

嬉しかった。
複雑な気分なんか、吹き飛んでいた。

愛海を応援したい。
綺麗な、可愛い笑顔を見たい。
ずっと、雨上がりの空の下で。