“ザァァァァッ……”

暗闇を照らすライトが大粒の雨粒を照らす。
運転する田中は始まりかけの渋滞にイラつく。
愛海はまだふてくされたように外を見ていた。

「ねえ、まだ?」
「……さっきの悪者扱いの話だけど」
「え?」
「もっと、ちゃんと話してよ」

愛海は驚いたような眼をする。
じっと助手席から田中を見た。

また、彼女は頬を染めた。
先ほどまでとは違ったからだった。
自分を、ちゃんと見てくれている……。

「あたしは意地悪だから嫌われるの」
「お姉ちゃんは良い子だと思う。けど、愛海ちゃんも良い子だと思うよ?今までずっとお姉ちゃんの世話をしてたんだ。良い子だよ。俺は、ちゃんと見てる」
「……じゃあ、どうして連れて来たの?あたし、ちゃんと嫌って言ったじゃない。お姉ちゃんに会うの、今は嫌なの」
「だから気になった」
「え?」

信号が赤になって田中は愛海を見た。

「ちゃんと見て?って顔してたから」
「そりゃあね」
「お姉ちゃんにもう当たりたくないって」