“ガチャン!”

「愛海ちゃんっ」
「……なぁにー」

愛海は窓辺で本を読んでいる。
月明かりが愛海の髪にあたって光った。

田中は靴を脱いで愛海の腕を掴む。
額に汗をかいているのを見て
愛海はまたそっぽを向いた。

「さっき運ばれたの、お姉ちゃんだ」
「……それがぁ?」
「病院にいこう」
「関係ない」

不機嫌な顔をすると愛海は服を脱いでいく。
田中は動じずにじっと愛海の眼を見た。

「……田中さん、恥ずかしくないの?」
「妹のでそんなの見慣れてるよ」
「…………」

愛海は一瞬イラッとした顔をする。
けれど、直ぐに眼から涙を流した。

「愛海ちゃん……?」
「いつもそう、お姉ちゃんばっかり」
「は?」
「あたしは悪者扱いされて、一人ぼっちなんだよ?お姉ちゃんのお世話だってちゃんとしてあげてるのはあたしなのに……」

服を元に戻しながら愛海は泣いた。
田中は眉を下げて悲しそうな顔をする。

「……行こう、愛海ちゃん」