「あ……えっと……」
戸惑った表情で大家さんが振り向く。
田中さんは私と眼を合わせてくれなかった。
こんな顔をさせてるのは、私?
凄く悲しい。
口の中がしょっぱくなっていた。
悲しい。
悲しいよ……。
みっともない私を望さんが擦ってくれる。
優しい事に、また涙が出てくる。
「ごめんなさい……」
今日のご飯は、美味しくなかった。
悲しい味がした。
「気にすんな?」
「でも、愛海ちゃんは……」
俯いた。
またしょっぱい味がした。
田中さんはご飯の後直ぐ帰って
私は望むさんに送ってもらっている。
望さんの優しさは嬉しいけど
私は田中さんに嫌われた事がショックだった。
今すぐ走っていきたいのに
同情と、この体の所為でいけない。
辛かった。
「どうしてそんなに気を使うのさ」
「……愛海ちゃんは、私に優しいから」
「姉妹だろ?そういうのって、俺はちょっと……ううん、かなり不自然な事だと思うよ?すごく見てて愛海ちゃんが悪い子に見えちゃうんだ。それって君にも良いことじゃないんじゃないの?」
「それは……」
口が動かなかった。
望さんの言った事は、何人にも言われた。
『愛海ちゃんに気を使ってる』
私はそんな気が無いのに
愛海がどんどん悪者になる。
何時の間にか、こうなると呼んでる。
『愛海ちゃん』って。
それが、皆に同情を呼んでるのかもしれない。
けど、だめだ。
涙が止まらないんだよ……?
ごめんね、愛海。
私、愛海のことが大好きだから……。

