「田中さんいたよ~」 満面の笑みで田中さんの腕に絡まる愛海。 幸せそうな顔をしている。 嬉しいけど、複雑な気持ちだった。 彼女と張り合うなんて、できない。 今まで散々世話になった。 それを、裏切るなんて無理だった。 「愛海ちゃん……」 「何ですかぁ?」 「恥ずかしいから、離れて?」 「や~ん、照れてます~?」 愛海が笑うたびに 私の心はどす黒く沈んでいった。