「……愛海」
「んー?」
白い肌が黒い服で隠れる。
それは私よりずっと早かった。
それって、幸せなんだよ、愛海。
「……夢見ちゃったよ、変なの」
「変って?怖い夢?」
「うーん……。そうだけど、違うかもしれない。もしかしたら自分の妄想かもね」
「何それ?ははっ」
そう、笑い飛ばしてほしい。
その方が安心できるから。
大丈夫、大丈夫だ。
私達がここにいるよ。
そう、言ってもらえている気がして。
“ガコンッ”
「じゃあ、先行く?」
「……今日は送ってもらって良い?」
そう言うと愛海は億劫そうな顔をした。
やっぱり嫌がられてる。
迷惑がられるのも慣れたけど、愛海にそうされたのは初めてだった。
「……ごめんね」
「平気」
声に明るさが無かった。
多分愛海は、田中さんと行きたかった。
だから、私は邪魔だったんだろう。
「……ごめん」

