「あ、全部着れた?」
「うん、平気だったよ。」
まるで幼稚園の会話。
園児じゃないのに、聞いてくれる。
それが重いときもあるけど、やっぱり優しさだって気付いて罪悪感を覚える……。
ねえ、バカみたいじゃない?
こんなふうに永らえて、何の意味があるのよ?って直接言われるほうがマシだ。
なんて、簡単に言うもんじゃないか……。
「愛海、ごめん、座るの手伝って?」
「いいよ~。」
裸のまま手を差し伸べてもらうのは悪いけど、私が湯冷めするともっと愛海に迷惑が掛かる。
病院にだって、一人で行けないのだから。
「…………ごめん。」
“ガチャッ。”
自分で軽めのドアを開けた。
案外簡単に開いて
でも段差があった。
「ちょっと待ってて、今着終わるよ。」
「平気!」
“ガタン、ガタン、ガタン!!”
三回目で抜けられる壁。
よかった、大丈夫。
もう、大人よね?
「……じゃあ、先帰るね。」
今なら何でも出来る。
そう思いたいんだよ……。
「う、うん……。」
戸惑った愛海を、
どうして私は置いていったの?
あんな事になるなんて
思ってもいなかった。

