「よし、じゃあ、先身体拭いて、服着れなかったら手伝うから言ってね。」
「うん。」
濡れた髪から落ちる雫が冷たく感じる。
もしかして私って、迷惑な存在?
もしかしなくてもそうだ。
みんなの優しさに甘えてのうのうと。
これじゃあ赤ん坊と一緒だよ……。
“パサッ。”
タオルを頭に乗せる。
起こった風が少し温かくて。
感覚が残ってるだけマシ。
上半身の感覚が残っていてよかった。
これで、多少の事は出来る。
でも、それでもね。
やっぱり人より出来ないことがあるから、時々ね、時々、私は要らない人間じゃないかって思ってしまうんだよ。
ただ迷惑を掛けてばかりで、生きてる価値なんか、私なんかにあるのかなって。
「…………。」
“シャーーー……。”
シャワーを浴びる愛海は生きて見える。
車椅子を運ぶ愛海は人形に見える。
それはとても罪な事だけど
どうしても、そう思えてしまうんだ。
「服着なきゃ……。」
そう言って衣類を自分の近くに寄せる。
立てればヒョイと持ち上がるんだろうな。
“ゴソゴソ。”
ねえ、私ザリガニみたいね。

