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“コンコン。”

「すいませ~ん。あの~、お風呂借り手も良いですかぁ。大家さ~ん。」
「はいは~い。」

愛海の声が通じて大家さんがドアを開けてくれる。私のためだ。……すいません。
私はぺこっと頭を下げると自分の手でドアの前まで行く。ここまではできる。あとは愛海が段差を越えさせてくれる。

“ガッタン!”

「あ、ありがとう。」
「うん。」

膝に乗ったタオルがくすぐったい。
着がえは車椅子のポケット。
何だかベビーカーみたいだ。

「じゃあ、そこ曲がって二番目よ。」
「ありがとうございます。」

二人声を合わせてると、何だか滑稽?
私は愛海におんぶしてもらってお風呂場に行く。幼稚園のプールみたいに堂々としてるのは気が引ける。

私は洗面台の前に座らせてもらうと、上からゆっくり服を脱いでいった。上手く行かないから苦労したけど、何とかお風呂に入れた。
椅子に座ってシャワーを掛けてもらう。
いっつもこうしてると愛海のお風呂が遅れてしまって申し訳ない。何だか、迷惑掛けてばっかりな私。これじゃあ姉失格。

「ごめんね?」
「も~。言わない約束。」

そう言って皆明るく笑うけど、重い問題なのです、私達にとっては。