“ギギギギギギギ……。”
ぎこちなくドアを開けて車椅子を挟む。
ドアが固定されて何とか入れる。
「愛海。」
「あ、ごめんね、先行っちゃって。」
「平気。ちょっと手伝ってくれる?」
「うん。」
サンダルも履かずに駆け寄ってくれる。
その優しさが嬉しい。
「田中さん、何か言ってた?」
「ううん、別に?」
「そっか。」
うなだれる愛海を見て、やっぱりこの子は恋をしているんだと思った。
そうしたら、もう関わらないほうが良いのかな……?友達が少ないから、そういう気の使い方が分からない。
「……愛海はあの人が好きなの?」
「え?うう~ん。まあ、そんなとこ。」
「そうなんだ。」
ふふっとちょっと笑ってみる。
何よと言った愛海が可愛く思えた。
「大丈夫、叶うよ。」
「そお?」
家族ってより
妹ってより
友達みたいな私達。
ね、愛海。

