「よし、じゃあ戻って良いわよ~。」
「は~い。」
大家さんの家のドアに皆が集合する。
私は遅れ気味で集合。
まだ名前を知らない人がニ・三人。
早く馴染まなきゃいけない。
そうだ、挨拶に行こう。
一階の人だけでも……。
自分の力だけで!
「お姉ちゃん、あたしちょっと先行くね。」
「うん。」
私の姿を見て安心してくれたのだろうか
愛海が私を追いてくのは初めてだ。
駄目だよね、甘えてばかりじゃ。
そうだよ、私はお姉ちゃんだもの。
年上は年上らしく!
「じゃあ、送っていこうか?」
「いえ、大丈夫です。行きは有難うございました。迷惑掛けちゃって、すいません。」
「良いんだよ。」
“ガチャッ。”
開けてくれたのは知らない人の一人。
お礼言わなきゃ。
「有り難うございます。」
「いえいえ。あ、俺、須藤望。女みたいな名前だけど宜しくね!!えっと……。」
「あ、香奈子です。」
「香奈子ちゃん。」
「はい。」
頷くと、田中さんが覗き込んでくる。
「俺も今聞いた。」
「あ、そうでしたね。」
何だかフレンドリーな優しさ。
友達の少ない私には珍しい体験。
だからどう笑うのか分からない。
お母さんの時と同じ笑い方。
「可愛いよね。」
「わ、須藤くん積極的。」
「そりゃあね~。ね。」
「え?」
そうだよ、これから慣れていくんだ。

