「…………。」
俯いて食べる食事。
喉に詰まりそうだけど、顔は上げない。
田中さんにも、大家さんも見れない。
恥ずかしい、私の姿。
また、じんわりと涙が出てくる。
食べたご飯がしょっぱい。
「おいしいね。」
「え……。」
「このアジフライ、大家さんが作ったんだって。俺いっつも骨残しちゃうのに、全部取ってあんの。凄くない?」
田中さんがアジフライを箸で指す。
そういえば、いつも喉に詰まるのに
そうか、骨がなかったんだ。
「……おいしいです。」
「あら、嬉しいわ~。」
ニコッと笑ってくれたら
少し胸が軽くなった。
柔らかくなった空気。
私も涙を袖で拭いて笑った。
「やだ、田中さん行儀悪い~。」
「あはは、本当だ。」
「ふふ。」
ねえ、このまま、幸せでいさせてください。

