「いただきまーす。」
「いただきます。」
「どうぞ~。美味しくないかもだけど。」
田中さんが眼を細める。
どうしても眼で追ってしまう自分。
「はは、そんな事ないですよ。」
「本当?嬉しいわぁ。」
打ち解けているのは家族のようで。
とても優しい気持ちになれる。
「……お姉ちゃんお醤油とって。」
「うん。」
うんと手を伸ばす間にも、愛海と話す田中さんを見つめてしまっている。
不思議な感覚、初めての感覚……。
ふわふわしてる。
“ガタン!”
「あらら大丈夫?」
「も~、お姉ちゃん。」
皆が拭き取るのをボーっと見ている。
今さら醤油を倒したんだって理解。
だめだ、身体は付いていかないらしい。
「ごめんなさい。」
「良いのよ、平気。」
その優しさは、嘘だと思えて
寂しい寂しい。
この心の孔が、怖い。

