「ごめんね、手伝わなくても平気よ~?」
「いえ、でも、お皿運びます。」
「ごめんなさいね~。」
大家さんが小皿を2、3枚渡してくれる。
優しさ。でも、少し悲しい親切。
自分は何も出来ないんだなって思う。
「偉いね、俺ならやらないけど。」
「そうなんですか?」
「田中さんも本当はやっちゃうくせに~。」
愛海が横から入ってくる。
なついている愛海を見ると
この子は恋をしているって分かる。
彼氏を作ってきたときと同じ。
分かりやすいんだ、この子は。
「……じゃあ、並べてきますね。」
「あ、うん。」
「田中さんはどの席なんですか?」
愛海はハイテンション。
こういうのを邪魔しちゃいけない。
どうせ私がいたって邪魔なだけ。
恋愛対象外だもの
いたって恋バナさえ出来ない。
「……あの、大家さん。」
「は~い?」
「お醤油は……。」
悲しいけど、現実だもんね。

