パートナー






「あ、すいません。猫平気ですか?」
「……はい。」

頭がボーっとする。
何だか、不思議。
この人を見ると少し嬉しくなる。

「えっと、妹さんは大家さんの所です。」
「…………。」
「あの……。」
「あ、はい。」

何だか、怖いような、すくむような。
鼻を利かせてみる。

マニキュアみたいな……。
シンナー……?

危ない人かと思ったら、怖くなった。

「えっと、すいません、汚くて。」
「いえ……。」

眼を合わせるのが怖くて、つい他を見た。
でも、不自然。
治さなきゃいけない。

「あの、お仕事、されてるんですか……?」
「ん、ああ。シンナー臭かったかな?ごめんね。俺、一応ネイリスト?爪を飾ります、見たいな。」

ニコッと笑って答えてくれる。
本当に、平気?
優しい空気に混乱する。

「こんな地味な奴珍しいけどね。」

そう言っている田中さんを見たら
無性に笑えてきてしまった。