「開けても大丈夫ですか?」
「あ、……はい。」
愛海はどうしたんだろう。
田中さんのところに行ったんじゃ……?
“ガチャ。”
「こんにちわ。」
入ってきたのは綺麗な黒髪の眼鏡の男の人。
何だか、格好良い人みたいだ。
こういう人が親切なのは、珍しい。
頭も良さそう……。
「ん?」
その人はゆっくりこっちに歩いてくると
窓の外をキョロキョロと眺めた。
「お~、やっぱりお前かぁ。」
「?」
そういうと、田中さんは猫を抱き上げた。
なんだろう、くらっとする匂いがする。
「ニャー。」
声の主だった。
可愛らしい、捨て猫?
可愛い子猫。
何故か、田中さんとその猫に
私は見入ってしまったんだ……。

