記憶

「はぁ…」

ダメだな私…

私は病院の中にあるベンチに座り込んだ

「あっ… どうも…」

「あら？ まだいたの？」

薫さんが近づいて来た

今は話す気分じゃない

正直苦手だ

この人笑わないのかな？

先生はなんでこんな人好きになったんだろう

私はこれ以上関わりたくなくてカバンを手に取り帰ろうとした

「帰んの？ 誠に会いに来たんでしょ？」

また強い口調で言われた

もうなんなの…⁉︎

ちょっとは優しくしてくれても良くない？

なんでこんな人が先生に愛されてるの？

悔しい… 妬ましい…

「ねぇ？ 聞いてる？ まぁ帰るんだったら勝手にどうぞ あ、あと誠に余計なこと言ってないよね？」

「よ、余計なこと…？」

「誠がね頭痛がして倒れたとき何か思い出しそうだったんだってさ 誠にとって大事なことらしいけどあんた何か関係あんの？」

あのとき思い出せそうだったんだ

じゃあもう少しで…

「先生にとって大事なことなんだから思い出した方がいいに決まってる…！ 何で思い出すことをとめるんですか？」

私は薫さんを睨んだ

ここで下がるわけにはいかない

私は薫さん以上に先生のことが好きな自信があるから

このまま負ける訳にはいかない…！