記憶

「落ち着いた？」

「あ、ごめん！」

何分かして先生の声で我に返った

私は慌て先生から離れる

やってしまった…

抱きつくなんて私バカだ…

もう先生を求めすぎておかしくなってる

「あの、本当にごめんなさい！」

「いいよ 気にしなくて あ、あのさ…」

「え、何？」

「実はね… 今日で病院通うの最後なんだ…」

「えっ…」

その瞬間雨足が強くなったような気がした

もう最後って…

もう会えないってこと？

もう話出来ないってこと？

私は言葉を失った

「もう通わなくて良いいって言われたんだ」

「けどまだ思い出してないことがあるんじゃ…」

私は精一杯の力で吐き出した

「それはゆっくり思い出していくよ 病院に行かなくったって思い出せる」

でも、私に会わなくなったら思い出せなくなるんじゃ

それに彼女さんだって無理に思い出すなって言うに決まってる

そんなの嫌だよ…

けど嫌なんて言えない

そんな関係じゃないし

言う権利もない

「本当に楽しかったよ ありがとう じゃあ元気でね 新しい出会いちゃんと見つけるんだよ」

先生はニコッと笑った

先生の背中は遠うざかっていく

このままでいいの？

こんなんで最後でいいの？

いいわけない…！