「雨か…」

そしてまた土曜日がやってくる

季節は梅雨になり毎日ように雨が降っていた

「相沢さん! おはよう!」

「あ、先生! 遅いよ」

「ごめんごめん 長引いちゃてさ」

そしていつも通り話を始める

学校のこと、バイトのこと、そして恋愛のことも…

「相沢さんは好きな人いるの?」

「うーん… まぁいるっちゃいるかな…」

急に恥ずかしくなった

好きな人に好きな人を聞かれるのはやっぱり恥ずかしい

「学校の子?」

「違う 好きな人っていうより… 忘れられない人かな…?」

「忘れられない人?」

「そう 昔ね勇気出して告白してさ私3年間ぐらい好きだったのその人のこと そしたら必ず迎えに来るって言ってくれて…」

本人の前で言うのは照れくさかったけど私は続けた

「でも久々に会ったら向こうも色々あったらしくて彼女もいて… 私なんて忘れてた… 運命の再会だ!って舞い上がってたのは私だけだったみたい…」

気付いたら涙こぼれていた

「相沢さん… 本当に好きだったんだねその人のこと…」

先生は私の頭をポンポンしてくれた

あの頃辛くて泣いてた時も先生は私の頭を優しく撫でてくれた

「大丈夫だよ また新しい出会いがきっとある」

「先生…」

私は先生に抱きついてしまっていた

こんなことしたら嫌われるに決まってる

けどとめられなかった

先生の香りが今までで1番長く感じられる

先生はびっくりしながらも突き放したりしなかった

ただ黙って背中をさすってくれた

涙は溢れる一方