「あ、なんで僕が病院に通ってるかって話だよね」

「はい」

理由はわかってるけど本人の口から直接聞きたかった

「僕ね事故にあったんだ 体はボロボロで脳へのダメージが大きくて 死にかけだったんだ なんとか一命をとりとめて回復はしたんだけど もしかしたら記憶喪失になってるかもしれないって言われてさ」

「記憶喪失…」

「そう でもちゃんと覚えてた 自分のことも家族も友達も生徒のことも 前に教え子が来てくれたんだけどその子達のこともちゃんと覚えてた けど…」

先生が言葉を詰まらせた

「けど…?」

「何か大事なことを忘れてる気がするんだ… ってこんな話してもつまんないよね ごめん…」

「その大事なことって思い出そうとしてるんですか?」

「まぁね けど彼女がもう無理に思い出さいほうがいいんじゃないかって言われてさそれから思い出すのをやめたんだ けどねやっぱり気になるんだよね…」