「あ、そうだ 実は話があって…」

葵は急に真剣顔をした

「水澤先生のことなんだけどね 実は今日雅紀と一緒に会って来たんだ」

「そ、そうなんだ…」

「それでね私達のこと覚えてる?って聞いたら覚えてるみたいだったの しかも鮮明に…」

「うん…」

私だけなんだ記憶ないの…

「でね、前合コンで会った子私達の同級生で先生の教え子だよって言ったらやっぱ覚えてないって…」

「うん…」

「でもね、気にしてたよ あの子とどっかで会ったことあるような気がするって言ってたんだ それでねこれ…」

葵がメモ帳を渡して来た

そこには病院の名前が書かれていた

「それ先生が通ってる病院 週に1回診察してもらってるらしいの こっから近いよね?」

「ど、どうゆうこと?」

「先生土曜日の午前に病院に行くんだってさ」

「それって… 会いに行けってこと?」

「そう! ねぇ、美里このまま終わっていいの? 」

「それは…」

「このまま曖昧なままじゃ嫌でしょ? だったら先生が思い出すまで追っ掛けてちゃんと蹴りつけた方がよくない?」

葵はまっすぐな目で言った

葵の言う通りだ

このまま終わりたくなんかない

前に進めないなら1度立ち止まってみるのもありかもしれない

「とりあえず会ってきな! うじうじしてたって始まんないよ!」

葵はいつも私の背中をぽんっと押してくれる

「私病院行ってくるね! で、私のこと思い出してくれるまで頑張ってみるよ」

「よし! その調子! 美里はこうでなくちゃね」

先生が思い出せないなら私が思い出させてあげる
だって私はまだ終わってなんかないんだから…