10年愛してくれた君へ


「よかったな高橋。携帯見つかって。で、友達から何か連絡は?」


「...あ、なんか帰っちゃったみたいです」


「はぁ?」


「え?帰ったって?高橋さんの友だちが?」


「...はい」


はぐれた友達を置いて、普通帰る?


もしかして高橋さん、いじめに遭ってるんじゃ...



心配する私たちをよそに、高橋さんは笑顔で言った。


「友達に帰られちゃったので、私も一緒に行動していいですか?」


えっ...?


思わぬ発言に何も返せない。



かわいそうだとは思うけれど、高橋さん、私たちデートだって知っているよね?



「...ダメですか?」


寂しそうに言われると、受け入れるしかない。


「いい?河西くん」


「え?あぁ...鵜崎がいいなら俺は別に」



もはやデートじゃなくなったけれど、放っておくわけにもいかなくなり...


3人で遊園地を回ることにした。