「今日は珍しく頭がきれてるな、鵜崎」
「え、酷い!まるでいつもがアホみたいじゃん!」
「違うのか?」
持っていたマップで河西くんを叩く。
「おいおい伊藤みたいなことすんなよ」
ずっと黙っている高橋さんにちらっと目をやると、浮かない顔をしていた。
「...あ、ごめんね、二人ではしゃぎすぎていたかも」
咄嗟に謝るが、『いえ、気にしないでください』と一言。
とりあえず落とし物センターだ。
ここから割と近い場所にある。
目的地に着き、受付の女性に声を掛けたのは河西くん。
「あの、すみません。携帯の落とし物届いていませんか?」
「どのようなデザインでしょうか?」
セキュリティーのために、その落とし物の詳細など事細かに聞かれる。
高橋さんの言っている条件と合った物が見つかったのか、受付の女性は1台の携帯を差し出した。
「こちらでしょうか?」
「はいこれです!よかったー」
「よかったね高橋さん」
携帯が見つかり、ほっとした顔を見せる高橋さん。
先程までの浮かない表情は、きっと不安だったからだろうと自己解決した。
「では、こちらに受け取りのサインをお願いします」
「はい」
高橋さんのサインが済み、センターを後にした。



