10年愛してくれた君へ

意外にもこちらの列の進み具合はスムーズで、短時間で買うことができた。


ルンルン気分で歩いていると...


「きゃっ!」


「うっわ冷てぇー」



人にぶつかってしまった。



「ご、ごめんなさいっ!」


よく見ると、今日の対戦相手のチームのユニフォームを着た中年のおじさんだった。


私のスムージーがかかって一部シミのようになっている。




対して私が着ているのは...ひいきのチームのユニフォーム。



「ってめ、よそ見してんじゃねーよ!あ??このゴミくそ球団が。どうしてくれんだよ!!」


おじさんの鋭い眼光に怯む。こういうにトラブルに遭った試しがなく、対応の正解がわからない。


「ごめんなさいっ」


私は謝ることしかできなかった。


どうしよう...恐い。


「球団もクソ、ファンもクソってどうようもねーなぁ?」


周りから視線を感じる。しかし、好奇の目で見てくるばかりで、助けてくれる人は誰もいない。


私の不注意で起きてしまったトラブルに違いはない。恐怖と恥ずかしさで動けないでいると、後ろからそっと腕を引かれた。


私の前に立ったのは...




「は、春兄...」