二人揃ってリビングへ戻ると、こちらに気づいたお母さんがニヤケている。


「あらあら、長かったじゃない?二人で何してたの?藍、浮気?」


「ちっ!違うしっ!!!」


春兄ママなんて嬉しそうに、『若いわね〜』とか言ってるし。





その1時間後、お開きとなった。


みんなを玄関まで見送る。



「今日は楽しかったわ〜。久し振りに藍ちゃんの顔も見れたし」


「私も春兄パパママに会えて嬉しかったよ」


「また集まろうな。次はトシくんも一緒に」


"トシくん"とは私のお父さんのこと。


春兄パパはお父さんをいつもそう呼んでいる。


「えぇ。次はあの人の予定無理やりにでも空けさせておくわ」


親同士で会話している中、春兄と目が合った。


「今日はありがとうな。楽しかったよ」


「私も!まだ就活続けるんだよね?頑張ってね!」


「あぁ。お前の顔見てると気力が湧くんだ」


…春兄はこうして私の"笑顔"をよく褒めてくれるけれど、ちょっぴり照れるし何より春兄の笑顔の方が何倍も素敵だと思う。


でもこれを言ったら、きっと『じゃあ藍の笑顔はその何百倍も素敵だな』とか言いそうだ。


春兄は、そういう人。



だから…



「じゃあ、春兄がずっと元気でいられるように、私もずっと笑顔でいるね!!」


「ははっ、それはありがたいや」



ふんわりと笑い、いつものように私の頭に手を置いた。


幸い親同士がまだ会話に夢中だからこの状況には気づかれていないけれど、こんなところでもサラッとやってのけるあたりがさすが春兄だ。






「それじゃあ、また」


春兄パパが会話を切り上げ、3人とも帰って行った。