『…もしもし』


「あ、春兄今大丈夫?」


『あぁ、どうした?』


「あのね、実は…河西くんと付き合うことになったの!!」


『…』



春兄から反応がなかったが、構わず続けた。


「春兄には色々相談乗ってもらって、何より初めてできた彼氏だから報告したくて!」


興奮を隠しきれずマシンガンのように言葉が出てくる。しかし、いつまで経っても春兄からの反応がなく、さすがに不安になって聞き返した。


「…春兄?」


『…あっ、ごめんごめん!そっか、よかったじゃん。あいついい奴そうだし、面白いし、俺も安心だよ』


春兄のその言葉に私も安心する。


「今度また春兄に会わせるね!」


『あぁ、楽しみにしてるよ』



電話を切り、高鳴る胸を抑える。自分で言ったけど、"彼氏"って…きゃー恥ずかしい!!



「ニヤニヤしててキモいぞー報告終わったの?」


「充希!キモいは余計だろ!うんしたよ」


「春人さん何だって?」


「喜んでくれたよ!」


「…そっか」


浮かれていた私はこの時の充希の想いなど気にも留めていなかった。


こうして晴れて、"初彼"ができた私。




あの人の温かい大きな愛に気づくのは、もう少し先の話…