10年愛してくれた君へ

部屋に戻ってみると、充希がけろっとした顔で『ご飯行こ』と言ってくるから私も拍子抜け。


なんて言うんだろう…春兄のことを話しているときの充希は別人格みたいというか、他人が憑依している感じ?



「ねぇ、充希ってさ…」


「なに?」


「多重人格?」


「…は?」




なーんて、違うか。



食事会場に着くと、かなり人が集まっていた。ちょうど二人分場所が空いていて、そこに座る。メニューは鰆の西京焼きをメインに、白米や味噌汁、青菜のおひたしなどとてもヘルシー。



「明日だっけ、球技大会って」


西京焼きだけを箸でつつく充希に、ご飯と一緒に食べればいいのにと思いつつ、ポケットを漁り綺麗に折りたたまれた紙を取り出す。


「…そうそう。午前1コマやって、球技大会挟んで、午後また授業だってさ」


取り出した行動表に目を通しながら答えた。


「あんた、こんなところにまでそれ持って来て、真面目だねー」


「私結構時間勘違いするから、持ってないと不安なの」


「あーそれはある。変なところで天然出すもんね、藍は」


「天然じゃないもん」


「…こりゃ春人さんも放っておけないわけだ」


「何か言った?」


「別にー」



今日はご飯を食べれば後は自由時間。


就寝時間は23時だから、それを守れば何をしていてもいいらし。…と言っても、就寝時間を守る人なんていないと思うけど。