10年愛してくれた君へ

好きな人たちがこうして仲良くなると、嬉しいもんだね。


「みんなその春兄って人と知り合いなんだな」


工藤くんは、電話する河西くんを不思議そうに見ながらそう呟いた。


「あんたも仲良くなれるかもよ?春人さん凄く優しいし」


「そうだよ!工藤くんも話してみれば?」


「いやいやいや!会ったこともないのに無理だって」


手と首をブンブン振って拒否するその姿がなんだかおかしく見えた。


「何で笑うんだよ」


「あ、ごめんごめん!工藤くん、最初は怖い人かな〜って思ってたから。意外とそういうの恥ずかしがるんだね」


私がそう言うと、工藤くんは恥ずかしそうに『悪いかよ』と顔を背けた。


「かわいいとこあんじゃん、工藤」


充希はからかうように工藤くんの頭を撫でる。


「や、やめろよな!」


顔を真っ赤にしながら充希の手を払った。


それが面白くて面白くて、私と充希は大笑い。





「…はい、あ、なんか鵜崎と伊藤と男1名がイチャイチャしてます」


「ん?どうしたの河西くん」


「さっきのお前らの声、春兄さんに聞こえてたってよー」


「女はおしとやかに笑えよな」


「うっさいわ工藤」


「あははっ!春兄に聞こえちゃったか!」



束の間の休み時間。


平和な時が流れていった。