その後すぐに別の話を振られ、その言葉の意味を深く考えることもなく会話が続いた。


充希もやって来て、しばらく3人で喋っていた。



時間になり、全員集まったところで目的地行きのバスへと乗り込む。


私は充希と隣の席だ。


その後ろに河西くんと…



「あ、俺工藤!河西と同じサッカー部だからよろしく!」


同じクラスだけど喋ったことがなかった、工藤くん。


少し長めの茶色い髪、片耳に小さなピアス。


どちらかというとチャラい部類に入るのだろう。



「河西、この子だろ?」


「おいやめろよっ」


後ろで二人がコソコソやっているが、あまり気にしないことにした。


「藍、春人さんに送ってもらったんでしょ?」


「うん!今まで通り普通に喋れたよ」


「でしょうね〜。あんたが春人さんと距離置くなんて無理なことだったのよ」


「うん…急いで大人になろうとしたのが間違いだったのかも」


今はこのままで、いいよね。


少しずつ、追いついていければ。





バス内でレクなどが始まり、わいわいしながら目的地に到着した。


途中で休憩を挟んたり、退屈しないバス旅だった。




バスから降り、クラスごとに整列。


学年主任から日程の説明を受けた。




「あーあ、勉強づくしはさすがに辛いわね〜。球技大会しか息抜きないじゃない」


ぶつぶつ文句を言う充希。


『まぁ三日間だけだから』と宥めるが、充希のしかめっ面は戻らない。



「着いて早々勉強はないでしょ」


「確かに、ちょっとまったりはしたいよね」



生徒がゾロゾロ入っていくこの教室で、毎回勉強会が行われる。


1日6時間、1科目2時間ずつ、計18時間、勉強に費やすのだ。



「2時間はない、2時間はないよ」


「でも大学行ったら1コマ90分だって春兄言ってたよ。練習だと思えばいいんじゃん?」


「大学の授業と受験生の授業は違うのー!」



どんなに嫌がっても時間は進むもので、さっそく授業が始まった。


忍耐だよ、充希…!!