それでも気になる二人の会話。
「見てみたいもんだな。ミナミが惚れたその男」
ミナミ…あの女性の名前はミナミって言うのか。
「もういいでしょ?別れて欲しいのお願い」
「チッ。今日は解決しそーにねぇな」
そう言ってチャラ男は伝票を持って席を立った。
女性…ミナミさんの方は、俯いたまま席を離れない。
あの人と別れたいくらい、春兄のことが好きなんだ。
「…さき。鵜崎」
「あ、え?」
「まだ決まんねーのか?」
「ごめんごめん!えっとねー、やっぱ定番のハンバーグかな!」
対してメニューに目を通しもせず、たまたま留まったハンバーグを選ぶ。やっとのことで注文し、運ばれてきたところで食事を始めた。
ちらちらミナミさんの方を気にするが、いつの間にか姿を消していた。
なんだか、今日は凄い場面を立て続けに見てしまった気がする。その、修羅場ってやつをね。
「そういやさ、鵜崎って進学するんだろ?どこの大学とか決めてるのか?」
「んー、大学はまだ。私の頭がどのレベルの大学まで通用するのか分からないからなぁ」
添えられていたニンジンを口に運ぶ。ハンバーグの添え物らしいまろやかな甘味が口内に広がる。
「ははっ。そんなに勉強は悲惨なんだ?」
「…割と。そういう河西くんは?」
「俺はスポーツ推薦とかで大学入ろうと思って、どこの大学かはある程度絞ってたんだけどさ、なかなか結果出せなくて。だから焦って勉強始めてんの。大学探しはゼロからスタートなんだ」
「スポーツ推薦か…サッカーが強い大学ってどこなの?」
「大西大学とかかなり強豪だよ。だから俺もそこ狙ってたよ最初は。スポーツ推薦で入る気満々だったからさ、今まで全然勉強して来なかった」
「大丈夫、私なんて焦ってもいないから」
「いや、鵜崎に大丈夫なんて言われても大丈夫な気がしない…」
冗談ぽく笑いながら言う河西くん。
「え、酷くない?私が大丈夫って言った時は大体大丈夫なんだから!本当に!」
「なんか雑だな」
ミナミさんのことが気になりながらも、河西くんとの会話が弾み、和やかな空気のままお店を出た。
その後他にも色々見て回り、時計が16時の針を指したところでショッピングモールを後にした。
茜色の空が私たちを優しく包み込むように頭上に広がる。
「鵜崎って篠木駅だよな?俺も方面一緒なんだ。途中まで帰ろうぜ」
「うん!よく覚えてたね?」
「まぁ興味があることは覚えてる」
サラッととんでもないことを言った気がするのだけれど。
私がどこに住んでいるのか、興味があるってこと?
「…何照れてんだよ。こっちが恥ずかしくなるじゃん」
「あ、ごめん」
「いや別に謝るなって」
無意識に言ったのかな?
あー!!ドキドキする!!
すぐに別の話題を振ってくれたお陰でこのドキドキを隠すことができた。
本当に河西くんって話し上手だなぁ。私とは大違いだ。あ、でも私も春兄の前では結構饒舌になるかも。
「じゃあ、俺次で乗り換えだから。気をつけて帰れよ」
隣に座っていた河西くんが腰を上げる。
「うん!今日はありがとう!また学校でね」
河西くんが先に電車を降り、一人になった私は河西くんの姿が見えなくなるまで目で追った。
今日って、デートみたいな感じだよね?
別に付き合ってはいないけど、側から見たらデートだよね…
きゃー!!
って、いかんいかん、調子に乗りすぎだ。
たまたま会ったから、一緒に買い物しただけ。河西くんにとって私はただの友達。
うん、友達…
「友達…か」
いや、友達なだけまだいいじゃない。
最高なことだよ。
「見てみたいもんだな。ミナミが惚れたその男」
ミナミ…あの女性の名前はミナミって言うのか。
「もういいでしょ?別れて欲しいのお願い」
「チッ。今日は解決しそーにねぇな」
そう言ってチャラ男は伝票を持って席を立った。
女性…ミナミさんの方は、俯いたまま席を離れない。
あの人と別れたいくらい、春兄のことが好きなんだ。
「…さき。鵜崎」
「あ、え?」
「まだ決まんねーのか?」
「ごめんごめん!えっとねー、やっぱ定番のハンバーグかな!」
対してメニューに目を通しもせず、たまたま留まったハンバーグを選ぶ。やっとのことで注文し、運ばれてきたところで食事を始めた。
ちらちらミナミさんの方を気にするが、いつの間にか姿を消していた。
なんだか、今日は凄い場面を立て続けに見てしまった気がする。その、修羅場ってやつをね。
「そういやさ、鵜崎って進学するんだろ?どこの大学とか決めてるのか?」
「んー、大学はまだ。私の頭がどのレベルの大学まで通用するのか分からないからなぁ」
添えられていたニンジンを口に運ぶ。ハンバーグの添え物らしいまろやかな甘味が口内に広がる。
「ははっ。そんなに勉強は悲惨なんだ?」
「…割と。そういう河西くんは?」
「俺はスポーツ推薦とかで大学入ろうと思って、どこの大学かはある程度絞ってたんだけどさ、なかなか結果出せなくて。だから焦って勉強始めてんの。大学探しはゼロからスタートなんだ」
「スポーツ推薦か…サッカーが強い大学ってどこなの?」
「大西大学とかかなり強豪だよ。だから俺もそこ狙ってたよ最初は。スポーツ推薦で入る気満々だったからさ、今まで全然勉強して来なかった」
「大丈夫、私なんて焦ってもいないから」
「いや、鵜崎に大丈夫なんて言われても大丈夫な気がしない…」
冗談ぽく笑いながら言う河西くん。
「え、酷くない?私が大丈夫って言った時は大体大丈夫なんだから!本当に!」
「なんか雑だな」
ミナミさんのことが気になりながらも、河西くんとの会話が弾み、和やかな空気のままお店を出た。
その後他にも色々見て回り、時計が16時の針を指したところでショッピングモールを後にした。
茜色の空が私たちを優しく包み込むように頭上に広がる。
「鵜崎って篠木駅だよな?俺も方面一緒なんだ。途中まで帰ろうぜ」
「うん!よく覚えてたね?」
「まぁ興味があることは覚えてる」
サラッととんでもないことを言った気がするのだけれど。
私がどこに住んでいるのか、興味があるってこと?
「…何照れてんだよ。こっちが恥ずかしくなるじゃん」
「あ、ごめん」
「いや別に謝るなって」
無意識に言ったのかな?
あー!!ドキドキする!!
すぐに別の話題を振ってくれたお陰でこのドキドキを隠すことができた。
本当に河西くんって話し上手だなぁ。私とは大違いだ。あ、でも私も春兄の前では結構饒舌になるかも。
「じゃあ、俺次で乗り換えだから。気をつけて帰れよ」
隣に座っていた河西くんが腰を上げる。
「うん!今日はありがとう!また学校でね」
河西くんが先に電車を降り、一人になった私は河西くんの姿が見えなくなるまで目で追った。
今日って、デートみたいな感じだよね?
別に付き合ってはいないけど、側から見たらデートだよね…
きゃー!!
って、いかんいかん、調子に乗りすぎだ。
たまたま会ったから、一緒に買い物しただけ。河西くんにとって私はただの友達。
うん、友達…
「友達…か」
いや、友達なだけまだいいじゃない。
最高なことだよ。



