10年愛してくれた君へ


***


「はぁー…」


「おい竹内〜お前溜息何回つくんだよ」


短期間に様々なことが起こりすぎて、気持ちがついていかない。


4年になり、授業もかなり減ったが、卒業単位を取得するために大学へ行く。


1年の頃なんて毎日朝から通っていたのに、今は午後の授業のみ。


今1年みたいな学校生活を送れと言われたら、丁重に断るだろう。


「俺も色々あるんだよ」


「何だよ、ラブの話?」


隣で講義を受ける俺の友達の木下は、サークルも同じで1年の時からよく共に行動している。


「てか、お前ペンケース替えたのな。相変わらずセンスいいなーお前」


木下はペンケースを手に取りまじまじと見つめる。


「あーこれ俺が選んだんじゃなくて…」


「わかった!!例の幼馴染の子だろ!!」


木下は藍のことを知っている…存在だけ。


無意識に俺が話しているらしい。


そして、藍が好きだということも、知っている。


「その顔は、図星だな?もう告っちまえばいいのにさ〜」


「そういうわけにもいかないんだよ」


そんなことしたら、藍が困る。


特に今なんて他に好きなやつがいるのに。


あんな別れ方をしてしまい、連絡も取りづらい。かなり小心者だ。