「あ、そうなんだ。今日もお疲れ様」
「ありがとな。で、藍は?何か用なんだろ?」
「うん、ちょっとお届けもので…」
カバンからパーカーを取り出すと、"他の何か"も一緒にくっ付いてでてきて、それはひらりと下に舞い落ちた。
「ん?何か落ちたぞ?」
それを春兄が拾い、まじまじと見つめる。
「…合宿するのか?」
「あ、そうなの。うちのクラスの担任がそりゃもう物凄い熱血教師で、進学予定の野郎どもは強制参加!とか言っちゃって、今日ずーっとその説明してたの」
「へー、大変そうだけど、生徒思いのいい先生だな」
行動表をパラパラめくる春兄。
「球技大会なんてやるのか?女子はソフトボールだって。かなり絞られてんな。藍ソフトなんてやったことあったっけ?」
「んー、ないけど、何とかなるかな〜みたいな?周りの子みんな出来るわけじゃないし、そんなガチな大会でもないしね。ちょっとした息抜き程度でしょ。それより、はいこれ。春兄の忘れ物でしょ?」
パーカーを春兄に差し出すと、表情がパァっと明るくなったのが分かった。
「おー、藍んちにあったのか。結構気に入ってたからさ、無くしたと思って結構落ち込んでたんだ」
「なにそれー!気に入ってたなら忘れないでよ!春兄って地味に天然入ってるよね」
「悪かったな。でも残念だなー。藍にキャッチボールでも教えてやろうと思ったけど、ガチじゃないならそれも必要ないな」
「え、でも春兄就活で忙しいじゃん!」
だから春兄には頼めないなーと思っていたのだけれど。
「息抜き程度にだよ。俺もたまには運動したいしな」
「春兄大学で野球やってるよね?そっちあるじゃん」
何も考えず発した言葉に春兄は少し困った顔を見せた。
あれ?何かまずいこと言っちゃったかな。
「んー、大学の野球とは別で、藍とキャッチボールしたいなって思っただけ」
私を思っての言葉かな?
恥かかないように手ほどきしてくれるっていう優しさ?
「優しいね、春兄は」
「ん?何で?」
分からなくていいよ。
無自覚なのが春兄らしいもん。
そんな気持ちを込めて、私は『何でもない』と答えた。
「じゃあ、用はそれだけだから!私帰るね」
「あ、うん。じゃあな」
一瞬何か言いたげだったけど、すぐにいつもの柔らかい表情に戻ったので、あまり気にしなかった。
「ありがとな。で、藍は?何か用なんだろ?」
「うん、ちょっとお届けもので…」
カバンからパーカーを取り出すと、"他の何か"も一緒にくっ付いてでてきて、それはひらりと下に舞い落ちた。
「ん?何か落ちたぞ?」
それを春兄が拾い、まじまじと見つめる。
「…合宿するのか?」
「あ、そうなの。うちのクラスの担任がそりゃもう物凄い熱血教師で、進学予定の野郎どもは強制参加!とか言っちゃって、今日ずーっとその説明してたの」
「へー、大変そうだけど、生徒思いのいい先生だな」
行動表をパラパラめくる春兄。
「球技大会なんてやるのか?女子はソフトボールだって。かなり絞られてんな。藍ソフトなんてやったことあったっけ?」
「んー、ないけど、何とかなるかな〜みたいな?周りの子みんな出来るわけじゃないし、そんなガチな大会でもないしね。ちょっとした息抜き程度でしょ。それより、はいこれ。春兄の忘れ物でしょ?」
パーカーを春兄に差し出すと、表情がパァっと明るくなったのが分かった。
「おー、藍んちにあったのか。結構気に入ってたからさ、無くしたと思って結構落ち込んでたんだ」
「なにそれー!気に入ってたなら忘れないでよ!春兄って地味に天然入ってるよね」
「悪かったな。でも残念だなー。藍にキャッチボールでも教えてやろうと思ったけど、ガチじゃないならそれも必要ないな」
「え、でも春兄就活で忙しいじゃん!」
だから春兄には頼めないなーと思っていたのだけれど。
「息抜き程度にだよ。俺もたまには運動したいしな」
「春兄大学で野球やってるよね?そっちあるじゃん」
何も考えず発した言葉に春兄は少し困った顔を見せた。
あれ?何かまずいこと言っちゃったかな。
「んー、大学の野球とは別で、藍とキャッチボールしたいなって思っただけ」
私を思っての言葉かな?
恥かかないように手ほどきしてくれるっていう優しさ?
「優しいね、春兄は」
「ん?何で?」
分からなくていいよ。
無自覚なのが春兄らしいもん。
そんな気持ちを込めて、私は『何でもない』と答えた。
「じゃあ、用はそれだけだから!私帰るね」
「あ、うん。じゃあな」
一瞬何か言いたげだったけど、すぐにいつもの柔らかい表情に戻ったので、あまり気にしなかった。



