最終面接は意思確認と言って面談のようなもの言われているし、何とか1社、内定は貰えそうだ。
安心して会社を出て、携帯の電源を入れる。
すると、何件かメッセージが届いていた。
「は?南?」
思わず声が出てしまった。
送り主は南。別れてから連絡を取ることはなかったから、一体何のようだろうとアプリを開く。
その内容を目にし、眉間に皺が寄った。
【春人久しぶり。
ちょっと、相談に乗って欲しいことがあるんだけど…
いつか空いている日ない?】
俺に相談?相談なら気心知れた友達にでもすればいいものを。
そう思いながらも無視するわけにはいかないので、とりあえず返事を打つ。
【明日なら大丈夫だけど】
すると返信はすぐに届いた。
【ありがとう!!春人の地元まで行くからその時に話すね!!】
【わかった】
そして翌日。
3年振りに南と会う。
場所は駅の近くのカフェ。
南は昔に比べ、更に容姿に磨きがかかっていた。
俺、この子と付き合ってたんだよな…
「…実はね?今の彼氏と別れたいの」
南からの相談内容は、暴力的な今の恋人と別れるため、俺に彼氏のフリをしてほしい、というものだった。
相談というより頼み事だ。
「なんで俺が…」
さすがの俺でもそんな頼みを引き受ける気にはならなかった。
そもそも南の今の彼氏のことを知るわけでもない俺が、どうして巻き込まれる形になるんだ。
「お願い!春人なら今の彼も諦めてくれると思うの!」
何だよそれ…意味が分からない。
また南の我儘に振り回されるのか?
「俺が行ったところで彼氏が諦めるとは思わないけど」
「でも、行かないとどうにもならないと思うの。本当に困ってるの!頼れるの春人しかいないの!!」
…やめてくれよ。
3年振りに連絡して来たと思えば、そんなことかよ。
そんなの自分で何とかしてくれよ。



