「ねぇ、あの子…誰?」
俺の地元で遊ぼうとなり、待ち合わせ場所で南を待っていた俺は、たまたま藍を見かけて声を掛けた。
藍と別れたところにやって来た南にそう言われる。
「あぁ、俺の幼馴染の藍。あいつが生まれた時から一緒なんだ」
「…そう」
そして、そのような状況は何度も続き、やがて南の俺に対する当たり方が強くなっていった。
「ねぇ、私に見せない顔をあの子に見せるのやめて!」
「…は?」
「どうしてあんなに優しく笑っているの!?私にはそんな顔してくれたことなかったのに…」
そんなはずはない。
藍と南に対する態度をそこまで変えているつもりは全くない。
だから、そんなことを言われなんと返せばいいか分からなくなった。
「どうして?あの子子供じゃない!!もしかして春人、あの子のことが好きなの!?あんな子のどこがいいの!?」
いつの間にか藍を卑下する南。
さすがの俺でもそれは許せなかった。
「藍を侮辱するのは…やめてくれ」
「否定しないのね」
「え?」
「気持ち、否定しないのね…」
俺は…やっぱりまだ、藍が好きなのか?
叶わぬ恋。
叶えようとすれば、今の関係は壊れてしまう。
南のことを本気で好きになることができればいいのに…



