読み終えた私の目には大粒の涙。


次から次へと頰を伝い、止まることを知らない。

泣きすぎて頭がぼーっとしてくる。



初めて知った、春兄の気持ち。


春兄に支えられてきたことは、もちろん私自身よく分かっていた。



だけど…私に与えてくれていた愛情は、計り知れないほど大きなものだった。



「春兄…春兄…春兄っ」


10年も前から思ってくれていたのに、どうして気がつかないでいたのだろう。


春兄の気持ちを知らなかった私は、一体どれだけ春兄を悲しませてしまっていたのだろう。


考えれば考えるほど、胸が痛くなる。



南さんに言われた"残酷"という意味がようやく分かった気がした。


一番近くにいたのに、春兄の気持ちに気づかずにいた私が、一番春兄を傷つけてしまっていたんだ。


涙が頬から垂れて、手紙の上にポタポタ落ちる。


滲んでいく文字、じわじわ広がるインクは、まるで行き場のなかった今までの春兄の気持ちが、少しずつ少しずつ、私の気持ちと繋がっていくよう。




ごめんね?春兄…



気がつかなくて、ごめんね…