【10年好きだった君へ


藍、18歳の誕生日おめでとう。


今年のプレゼントは俺が勝手に選んじゃったから、気に入ってくれるか不安だけど、よかったら受け取ってください。


あ、手紙の出だし驚いた?驚いたよな。


実は俺、10年前からずっと、藍のことが好きだったんだ。


10年も側で藍を想っていたなんて、引いた?


自分ではバレないようにしていたつもりだったから、多分藍は俺の気持ちに初めて気づいたと思う。


素直で、友達思いで、くしゃっと笑う藍に、10年間片思いをしていました。


気持ちを伝えるタイミングなんていくらでもあったと思うけれど、俺って結構小心者だから、告白して今の関係が崩れるのが怖くて、なかなか言い出せなかった。


俺を実の兄のように頼ってくれたり、甘えてくれたり、"幼馴染"っていう立ち位置でも、藍の側に居ることができる。


それ以上の関係になりたいなんて思う自分が嫌になったり、告白したことで藍と気まずくなるのはゴメンだから、側に居ることができるなら、ずっと藍のお兄ちゃんで居てもいいかなって思うようになった。


恋愛対象として好きでいるのをやめようと、他の女の子と付き合ったりもした。


でも、忘れようとすればするほど、藍の存在が俺の中でどんどん大きくなっていった。


中途半端な気持ちで付き合った俺のせいで、当時の彼女…藍は知っていると思うけれど、南とも別れた。


もし藍に彼氏ができたら応援してやろうって思った。


俺の藍に対する気持ちは変わらないけれど、側に居ることができるのなら、藍に寄り添えるお兄ちゃんを演じよう、そう思った。


だけど、実際に藍の口からそういう話を聞くと、正直こたえる部分もあって…


器の小さい自分に嫌気がさした。


大切な子の幸せを心から願うことができないなんて、最低なやつだ…と。



彼氏がいる藍にこんな手紙を贈って、困らせることなんて分かっていた。


でも、藍が『我慢しなくていい』『自分の気持ちを大事にしていい』と言ってくれたから、ごめん、俺の気持ちを伝えさせてもらいました。


自分の気持ちなんて、隠しているのが一番だと思っていた俺の背中を押してくれてありがとう。


告白するなら直接言いたかったけれど、言いたいことが多すぎて、緊張して上手く伝えられないと思ったから、手紙にします。



また、いつものように、藍の"お兄ちゃん"に戻れるように努力するから、幼馴染として藍のことを支えてもいいですか?



藍にはいつも笑っていてほしいから。


その笑顔を守るために、支えたい。




長々とごめんな?


じゃあ、素敵な18歳を…





春人】