一人取り残された私は、その言葉を頭の中で繰り返す。


残酷?私が?


春兄にあんな酷いことをしておいて、私を残酷だと言うの?


意味が分からないよ。



南さんの真意が見えず、春兄のことを利用されたという悔しさで、ますます怒りを覚えた。


でも分かったことが、一つだけある。


あの言い方から察するに、二人はあくまでも"元"恋人同士。


復縁はしていない、ということだ。



じゃあ、この前車でどこかへ出かけて行ったのは、何だったのだろう。


友達として会っていた?二人で?



次から次へと考えなければいけないことが増えてきて、頭がパンクしそうだ。




春兄には、もう南さんに会わないでほしい。


今は恋人ではなくても、また良いように利用されてしまう気がする。


もう春兄に傷ついて欲しくないよ。



「春兄…」



俯いて、太ももに置いた拳をギュッと握った。