10年愛してくれた君へ


「藍、最近様子おかしくないか?大丈夫?」


春兄にも気付かれている私の変化。


自分で自分の感情を上手くコントロールできていない。


「ううん、そんなことないよ、大丈夫」


きっと、私が何かを言うたびに春兄の負担になってしまう。


春兄が隠したいのなら、私は何も知ろうとしない方がいいのかな。


「本当に大丈夫なのか?悩みあるなら俺聞くよ」


悩みがあるのは本当に私なの?そうなの?春兄…


「…私には、何も言ってくれないのに」


「え?」


あぁ、こんなこと言いたいわけじゃないのに。


思ってもいないことが、次から次へと口から漏れる。


「春兄のことは教えてくれないのに、探ろうとしないで!!」


シーンと静まり返る部屋。


もう…ダメだ、春兄に嫌われた。



顔を上げるのが怖くて、俯いたままの私。


春兄は今、どんな顔をしている?


どんな気持ちでいる?



私は…どうしてしまったのだろう。



「ごめん、今日は帰ってもらってもいいかな。ちょっと体調悪いみたいで…」


春兄に嘘をついたことは、今まであっただろうか。


「…わかった」


それだけ言い、静かに部屋を出て行った。