自分を見つめる少年に再び視線をやって、フェリチタは微笑む。

「私が好きなのは、空の色は空の色でも、朝焼けの色なの……」

フェリチタは歌うように囁きながら、少年の頬に指を沿わせた。

つ、と自分の頬をゆっくりと走る柔らかな熱に、少年は顔をみるみるうちに赤く染め上げる。

そんな少年の様子を悪戯っぽく、そして楽しそうに見つめながら、フェリチタは少年の顔に自分の顔を近づけた。

「だからね、私は、きみの髪が大好きなんだよ?」

こつりと額と額を合わせて、フェリチタはくすくすと声を上げて笑う。

少年はしばらくぽかんとしていたものの、フェリチタに釣られるようにして唇で弧を描いた。

「僕の髪が……?」

もう一度聞きたいと、暖かな欲が顔を出す。

そんな少年の心情を見透かしてか、フェリチタが一層笑みを深めた。

頬に当てていた小さな手のひらをそっと動かし、少年の頭に手を伸ばす。

こざっぱりと切りそろえられた柔らかな金糸が、フェリチタの細い指先を優しく包みこんだ。

「きみのね、この朝日みたいな、綺麗な金色の髪が……大好きなの」

その感触に頬を緩めて、フェリチタが幾度も少年の朝焼けの髪を梳く。

「……でもね?金色なら誰でもいいって訳じゃないんだよ」

きみだからだよ、と手を止めないまま囁くフェリチタを見ていられなくて、少年は大きく視線を逸らした。