そう言うと幹斗は
ベットの下に座った。
あたしは幹斗の横の
なるべく近くに座った・・・。
深呼吸をすると
幹斗は話し始めた・・・。


「俺の仕事は農業だ。」


意外な言葉から始まった
幹斗の話にあたしは
ただ涙を流して聞いた・・・。
話はこうだった。

幹斗は18歳から農業をやり始めた。

理由はキッチンで働いてる時
野菜のことや家畜などに
興味ができ、転職した。

だけど、その時の彼女は
幹斗が農業に転職した事を聞くと

別れようと言った・・・。

結婚まで誓った二人だった・・・。

しかし世間一般的には
農業をやりたいと言う人が少なくなってきていた・・・。

農業者はもはや時代遅れという
見方をされていた・・・。

彼女さんの気持ちも分からない事はない。
でもスキなら、一緒に頑張れないのかな?
と、あたしは思った。


「俺と別れるか・・・?」


話終わると幹斗は
あたしの方を見て聞いてきた・・・。
その目は少し潤んでいるようにも
見えた・・・。


「あたしは幹斗がスキ・・・だから幹斗が
どんな仕事しててもあたしは絶対、別れないよ・・・?」


溢れる涙を抑えて言った・・・。


「でも、農業は自然任せな所がいっぱいある・・・
だから優を満足させてあげられる程、金もないだろうし
時間もないと思う・・・それでも俺と付き合っててくれるか?」


「うん・・・。」


「ありがとう・・・。」


幹斗はあたしを強く強く
抱きしめた・・・。
背中が痛いくらい・・・。
骨がきしむくらい・・・。
口には出していなかったけど
幹斗の腕から愛が
伝わってきて・・・
あたしも必死に幹斗の背中を
抱きしめた・・・。
誰かを愛するって自分の心が痛くなる・・・。
あたしはそう思った・・・。


だけど、
愛する形は
色々あるってのに気づくのは
もっと先の事だった・・・。