「ぅ…あれ優?」


あたしが
動いていたせいか
横で寝ていた
哲君が起きた。



「あ、ごめんッ起こしちゃった?」




「ぅん?あ、大丈夫…。」



なんだか
可愛い…。
寝起きの男の子って
こんなに可愛いんだ。

幹斗といる時は
いつも幹斗が
先に起きてたからなぁ。



そう思ってるうちに
哲君はまた寝息を立て
寝てしまった。


「あたしも寝よッ」



涙は出なかった。
幹斗と別れるのは
そんなに悲しくないのかな?

それとも
まだ実感がないからかな?


哲君の横は
少し離れた所でも
香水のいい香りを感じた。


男らしいけど
甘い香り…。
心がすごく
落ち着いた気がした。



あたしは
哲君の事が好きなの?



分からないけど
ただ安心したのは
確かだった…。