「わはは。ばーか」

「このやろ。………だからお前は何も悩まず笑ってろ」


そう言って穏やかに微笑みかける龍成。その表情の裏には、見落とすことのできない陰。


わたしが悩むことで龍成まで悩んじゃうんだ。もう、見た目に似合わず変に心配性なんだから。


「……でも、龍成はそう言っても周りは許さないんじゃ」

「知らねぇよ。麻友ちゃんも言ってただろ?どんな相手にも屈せず自分を貫けるようでなければ、経営者は務まらないって。だから俺は俺を貫き通す」

「それで解任でもされたらどうするの」

「どうすっかな。華乃に養ってもらうしかねぇか」

「え?!じゃあ今のうちから貯金の額を多めに…」

「ばーか。本気にすんな。旦那が嫁に食わせてもらってどうすんだよ」

「だって……。なによ、前は女の子に貢いでもらってたくせに」


すごい変わりようだよ。歩くホストとか言ってた人が、こんなことを言うようになるなんて。


「そんなん記憶にございません。……つーか顔色悪すぎ。いらねぇこと考えんな。俺は何が何でもお前を守っていくから」

「…随分男前なこと言うね」