そ、そうなの?


「子供が大人になって、もし自分から継ぎたいと言ったら考える。けどその能力がなければ継がせない。他人だろうと会社を背負っていける人材に、俺は継がせる」

「……そうなんだ」


龍成なりにちゃんと考えてるんだ。

なんか少し見直しちゃった。


「俺にその能力がないから今苦しんでるんだよ。更にそこまでのやる気もねぇ。人間向き不向きがあるってのに、息子だからって継がせようとする方が間違ってるだろ。今時世襲なんて時代錯誤もいいとこだ」

「だから?子供に自分と同じ思いをさせない為?」

「それもあるけど、やっぱやりたいことやるのが一番だろ。俺みたく腑抜けにさえならなけりゃ」

「……意外。子供ができる前から、龍成がそんなこと考えてるなんて」


真剣に子供について話す龍成は、普段よりも大人に、そして普段よりもいい男に見えた。


「結婚するからには考えるだろ。一応後継者ですから」

「うん。後継者って感じ」

「ぶっ。どんだけ単純なんだよ。これくらいで後継者とか、んなこと言ってたらすぐ詐欺られるぞ」

「わ、龍成にしては珍しく謙虚だね」

「何言ってんだ、俺はいつだって謙虚でイケメンだ」