「尊敬、ですか?」


間違っても尊敬されるような人生なんて送ってきてねぇぞ。どんな嫌味だよ。


「ま、今はそれはいいっすわ。追々話してもらうとして、あんた次第じゃ神田グループにいってもいい。今の会社にずっといたいなんて思ってないし、そっちは好待遇ですから」

「そうですか!ぜひよろしくお願いします!」


──って、俺次第?俺がどうすりゃいいんだよ。


「あの神田龍成がこれから俺をどう落とすか、すげぇ楽しみだ」

「……」


まるでどこかの悪人のような笑みの五十嵐。


……なんだこれ。

楽しみにしてもらえてもな。お前が好きそうなキャバクラに連れてくだけだよ。


こいつ、どうしたいのかいまいちよくわかんねぇな。

俺を咎めたいわけじゃない。俺次第じゃうちの会社に来てもいい。俺を尊敬している……。


おかしくねぇか?

俺のことを知ってるなら、俺が次期社長だってこともわかるだろ。それでいて俺にこの態度。