さっきまでの表情から一変、爽やかさの欠片もなく、いやらしさ全開のオーラをまとわせる五十嵐。


──やっぱり裏があったか。しかしなんで俺?


「……と申しますと?」

「回りくどい話は好きじゃないからぶっちゃけて言うけど、俺他にも何社かヘッドハンティングされてんだよ。どこも同じような待遇だから別にどこでもいいって感じ。でも今のあんたからの話も似たようなもんだったけど、俺が興味あるのはインセンがどうのの話じゃなくあんた。あんたに会いたかったんだよ」

「……はあ。」


なんで?

まさかこいつ、俺を狙って……ってあほか俺。


「電話もらって神田グループで名字が神田、それも声が若いからもしやと思ったらビンゴ。すげぇ偶然で笑えたよ」


な、なんだこの雰囲気。どう対応したらいいかわっかんねぇ。こいつ自体が意味不明だ。

一体何がしたいんだ五十嵐和樹。


「あの、仰っている意味が…」

「あれだけ週刊誌に載って、よく入社したな」

「──。」

「一生遊んで暮らすんだろうなと思ってたら、手のひら返したように真面目になって、どういう心境の変化?」