──いや、違うだろ。これはあれだ、遊んでた頃に言われた覚えがある。

随分遊んでいないせいか、女の感覚が鈍くなってやがる。


華乃が言いたいのはつまり──。


「龍成からの愛情はなんとなく感じるけど、どうしたってわたしの方が大きいんだよ。わたしの方が気持ちが大きいから、不安がいつも消えないんだよ。ねぇ、わたしって龍成にとって本当に必要な存在?女として、本当に必要な存在なの?」

「……ばかやろ」

「──っ」


ここまで言われて、何もできないわけがない。

女にここまで言わせて、何もできなかったら男じゃない。


やっぱり俺は男として希薄だ。これが遊びだったら、もっと上手くやれてるんだ。


泣かせる前に、気づいてやれるんだ。


本気だからこそどうしたらいいかわからなくなって、本気だからこそ、自分のことで手いっぱいになってしまう。


悪い。こんなに情けない男で。お前のせいで、俺は男としてどんどん弱くなっていく。

でも、そんな自分が嫌いじゃないんだ。


お前の為に生きる自分を、結構気に入ってるんだ。



重ねた唇に、ありったけの想いを込めた。