「そうですよ華乃ちゃん。君の為に一階にしましたよ」


以前結婚していた時に一緒に住んでいたマンション。そこを新居にすることに決めた。


なんだかんだ言って思い出があるし、お互いの実家も遠くない距離でちょうど良かった。


ただ、一階にすることにかなりの念を押されていた。

そりゃそうだろな。あの頃のような生活は厳しいわ。

俺がいなきゃ部屋に行けないだなんて。


麻友ちゃんに言ったはずだから多分大丈夫だろ。


「いつにする?引っ越し」

「新婚旅行のあとの休みは?」

「じゃあそうする」

「家具家電はまた用意しておく。お前の方ででかい荷物あんなら業者に連絡つけとくけど」

「うん…。でもわたしだって選びたい。わたし達の住む場所だもん」


……こんなの普通の言葉じゃねぇか。

こんなのにまで萌えてどうすんだよ俺。