「んぐっ!」


な、なに?!


目を開けると、龍成は真面目な顔から一変、無邪気な笑顔をしていた。

そしてなぜかわたしは両頬を片手で摘まれていた。


「…帰るか」

「はあ?!」

「じゅーぶん癒されたわ。ほら、シートベルトしろよ」


何事もなかったかのようにわたしから手を離し、運転を再開する龍成。

意味不明なまま、とりあえずシートベルトをするわたし。


「……」


──あ、あれ?今、完全にキスする雰囲気だったよね?

ていうか触れる寸前だったはず。


吐息を感じるくらい近かったもん。


……え?なんなの?まじでわけわからん。