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「っだー!!信じらんねぇ!!」

「ちょっと龍成、静かになさい」

「ふざけんな!!今日こそ早く帰れると思ったのに日にち変わってんじゃねぇか!!」

「仕方ないでしょう。向こうがあなたを気に入ってしまったんだもの。結婚祝いだなんて相当楽しんでいたわね」


家までの帰路、親父の専用車内。

日本酒ばかり飲まされ自分が酒臭いのがわかる。


取引先に親子三人で赴いた後、先方のお偉いさんに食事に誘われ、流れで結婚の話になった途端大盛り上がり。

俺的には早く終わらせたかったのに、先方が料亭の常連で店側が気を利かせたつもりか、閉店時間を越え遅くまで宴会…。


家に着く頃には二時過ぎてんじゃ……。


「知らねぇよ!嬉しくもなんともねぇ!」


ただでさえ華乃のことが悩みの種だってのに、悩む暇すらありゃしない。


「どうしてあなた、どこに行っても気に入られちゃうのかしらね。不思議だわ」

「うわー、マジで嬉しくねー」